仁井田本家では、若い世代の人たちに飲んでもらえる日本酒を目指して、手に取りやすいボトルデザインだけでなく、酒造りにおいても様々な新しい試みをしています。たとえば、「かをるやま」は自然米(有機栽培)で作る白ワインのようなお酒。自然米と酸味を出す白糀、多酸酵母を用いて、赤ワインの貯蔵に使用したオーク樽で熟成をかけた独特の日本酒です。ほかにも、ワイン醸造で使われる伝統的なアンフォラという甕を使って醸した限定醸造の「しぜんしゅ 純米酒 アンフォラ」や、日本酒と洋酒の境をはずした和のスパークリング「おだやか スパークリング」があります。このスパークリングは瓶詰めの後に二次発酵をさせることで、きめ細やかに輝く泡とドライですっきりした飲み口となっています。
特殊な製法の日本酒に貴醸酒というものがあります。とろりとした濃厚な甘味と複雑な香気を伴う貴醸酒は、三段仕込みの最終段の留において水の代わりに日本酒を使うのが基本製法ですが、創業300年を記念して2011年に醸造を開始した「百年貴醸酒」は一味違います。普通の日本酒の代わりに前年の貴醸酒を使う“再仕込み貴醸酒”で、400周年までの100年間にわたってリレーしていくという、蔵元のあくなき探究心の表れともいえるお酒なのです。