もともと林業を営んでいた十六代目は、80年前に杉を植えてくれました。今では立派な杉林へと成長し、木材の提供とともに村の水源も守ってくれています。自然酒を考案した十七代目は、コンクリートではなく木造の立派な仕込み蔵を建ててくれました。それも子の代、孫の代できっと役に立つことを見越してのこと。「100年後に誇れるものを造る」という精神が、歴代の蔵元には脈々と受け継がれてきたのです。

「我々の仕事は、”つないでいく”ことがとても大事。それと同時につないでいってはいけないマイナスなことは私たちの代で断ち切らなければいけないと思っています。父や祖父、先祖が紡いできてくれたものに何をプラスできるのかを常に考えています。次の代に何を残したいか。100年後に良くなるために、今何をすべきなのか。そんな思いを巡らせながら、伝統的な自然酒造りを絶やさぬよう日々研鑽を積んでいます」(十八代蔵元・仁井田穏彦)