2016年まで「しぜんしゅ」には醸造用乳酸を、2021年まで「おだやか」には白糀を使用していましたが、2022年からにいだのお酒はすべて生酛仕込みになりました。そして木桶による仕込みも徐々にその数を増やし、十数年後にはすべてのお酒が木桶仕込みになる予定です。また、現在は糀を造る際に必要な種菌は、自社田の玄米を原料に種糀メーカーが育成した専用菌を使っていますが、将来的には菌も自社で育てようと考えています。仁井田本家が目指すのは、原料や道具まですべて地元で自給自足し、100%天然の菌で醸す酒です。
さらに思い描いているビジョンがあります。それは、村の田んぼ60ヘクタールすべてを自然栽培にすること。農薬や化学肥料を使って収穫量をあげる現代農業は、どうしても「自分の代さえ良ければいい」という考えになりがちです。毎年同じ収穫量を保とうとすれば、少しずつ化学肥料を増やさなければならず、その結果土地がやせてしまいます。10年後や50年後の方が良い米がとれる、そんな田んぼを私たちは残していきたい。ご先祖様から受け継いできた土地の自然環境をこの先もずっと維持できるよう、「日本の田んぼを守る酒蔵」として仁井田本家は真剣に農業にも向き合っています。